米OpenAIは2026年11月2日(米国時間)、AIエージェント「Codex」で社内の開発量が急増し、ソースコードを管理する基盤が追いつかなくなったため、専用のGit基盤「Pando」を作ったと発表しました。導入後、変更を送る際の待ち時間はほぼ5分の1に縮まりました。


ニュースサマリー
Pandoとは?何が発表されたか
米OpenAIは2026年11月2日(米国時間)、社内のすべてのコードをまとめたリポジトリ向けに、新しいGit基盤「Pando」を作ったと公式ブログで明らかにしました。Codexの普及で、エンジニア1人が同時に抱える変更が増え、2025年末ごろから従来の基盤では遅延や失敗が頻発しました。信頼性が90%を下回る時期もあったといいます。
主な内容
多数の変更を同時に受け付けられるよう、書き込みの処理を横に広げられる設計にしました。
Gitの仕組みとの互換性を保ち、エンジニアもエージェントもこれまでと同じ手順で使えます。
設計の中核は1人のエンジニアが担い、実装はCodexのエージェントのチームが進め、着手から本番投入まで10週間でした。
開発中に見つけたGitの不具合や改善点は、本家のGitプロジェクトに還元しています。
報告されている成果
変更を送る際の待ち時間(中央値):ほぼ5分の1に短縮
配信量:1日あたりほぼ1ペタバイト、1時間で57テラバイト超の実績も
配信のうち99%超を手元に近いキャッシュから返却
2026年4月から本番で稼働し、社内のすべての開発を支える
運営からのコメント
なぜ今、このニュースが重要なのか
AIにプログラムを書かせると、コードを書く速さだけが上がるわけではありません。変更の数が増えれば、それを受け付けて保管し、確認する周りの仕組みにも負荷がかかります。OpenAIでは、その周りの仕組みが先に限界を迎え、一時は信頼性が9割を切るまでになりました。AIによる開発を本格化させると、全体の速さを決めるボトルネックが「人が書く速さ」から「周りの仕組みの処理能力」へ移ることを、AI企業自身が示した事例です。
最大のポイント
注目すべきは、AIで生まれた問題を、AIを使って10週間で解いている点です。設計の中心は1人の人間が担い、実装はエージェントのチームが進めました。前の週に紹介した「AIに開発を任せる4原則」と同じく、人が設計と判断を担い、AIが手を動かす分担です。一方でOpenAIは、どの時点でもリポジトリ全体が同じ状態に見える、という従来の前提を手放す代償も受け入れています。大きな速さの裏には、何かを諦める設計判断があることも見ておく必要があります。
企業がいま取り組むべきこと
社内でAIによる開発を広げている、または広げる予定がある場合は、コードそのものだけでなく、周りの仕組みの余力を確認してみてください。コードの保管場所、自動テスト、レビューの手順、承認の流れなどです。AIの利用が増えたときに、どこから詰まり始めるかを事前に洗い出しておくと、導入後の混乱を防げます。エンジニアが少ない企業でも、レビューや承認が特定の人に集中していないかを点検しておくことが、AI活用を広げる前の準備になります。
出典
一次情報:Scaling Git at OpenAI(OpenAI)
参照記事:CodexでGit基盤の信頼性が90%割れ、OpenAIが自作「Pando」でプッシュ遅延を5分の1に(ビジネス+IT)

小松怜
Advanced AI Partnersのコンサルタント。 生成AIニュースの執筆を担当し、国内外の生成AIの最新動向を企業の実務目線で解説しています。


