プロンプト、コンテキスト、ハーネス、ループ、グラフ。AIの使い方を表す「○○エンジニアリング」という言葉がこの1年で一気に増えました。目的はどれもAIの返答の質を上げることで、違うのは手を入れる場所だけです。症状から直す場所を見つける考え方を紹介します。


ニュースサマリー
5つの「○○エンジニアリング」とは?何が語られたか
AI活用の発信を続ける三浦圭人氏が、ビジネス+ITの記事で5つの言葉を整理しました。プロンプト、コンテキスト、ハーネスの3つはAIに渡す材料と、AIが働く環境の話です。ループとグラフの2つはAIの動かし方の設計で、時間軸と構造の違いにあたります。
主な内容
プロンプト:指示を磨きます。役割、条件、形式に加え「やってほしくないこと」も書きます。
コンテキスト:一緒に渡す情報を選びます。使わない言い回しのリストなどを毎回読ませます。
ハーネス:道具、制限、権限、ルールを整えます。制限と権限から先に決めるのが現実的です。
ループ:作って、別のAIに採点させて、直すを繰り返します。回す回数の上限も決めておきます。
グラフ:仕事を分けて複数のAIに割り振り、最後に束ねます。費用と待ち時間を減らせます。
症状別の「直す場所」
意図と違うものが返る:指示を見直す
前提を知らない、途中で忘れる:渡す情報を整理する
手作業が残る、任せるのが怖い:環境と権限を組む
品質が安定しない、詰めが甘い:検証の工程を挟む
作業が大きすぎて途中で崩れる:分担させる
運営からのコメント
なぜ今、このニュースが重要なのか
AIの使い方をめぐる新しい言葉が次々に登場し、「プロンプトはもう古い」といった言い方も目にするようになりました。言葉が増えるほど、現場では何から手を付ければよいか分からなくなります。社内でAIを広げる場面でも、「AIの精度が低い」という漠然とした不満で止まってしまうことは少なくありません。症状から直す場所を逆算する今回の整理は、その不満を具体的な改善につなげる道具になります。社内研修の教材としてもそのまま使える考え方です。
最大のポイント
注目すべきは、5つが入れ子の関係にあり、どれかが新しく、どれかが古いわけではないという指摘です。分担させた担当の中にも指示と背景情報があり、その出来を検証するのがループです。そのため、指示と背景情報から順に疑うのが近道になります。また「自分の成果物には採点が甘くなるので、別のAIに見せる」という考え方は、前日に紹介したAI開発の4原則とも共通しています。ただし、ループや分担は回数と費用が増えるため、品質の条件と回数の上限を同時に決める必要があります。
企業がいま取り組むべきこと
まず、自分がAIに頼むたびに口頭で補足している内容を書き出してみてください。「この言い方はしない」「この数字はこの資料から取る」「報告はこの形式で」といった内容です。それを1つのファイルにまとめ、毎回AIに読ませるだけで、指示と背景情報の層が整います。社内で「AIの精度が低い」という声が出たときは、上の5つの症状のどれに当たるかを一緒に分類すると、直す場所がはっきりします。手軽に試すなら、音声入力で考えを吹き込み、AIに指示文へ整えさせてから本番に渡す方法もおすすめです。
出典

小松怜
Advanced AI Partnersのコンサルタント。 生成AIニュースの執筆を担当し、国内外の生成AIの最新動向を企業の実務目線で解説しています。


