富士通は、ほぼ全社員にあたる約10万人にMicrosoft 365 Copilotを導入し、全社の利用率90%以上を保っています。社内のサービスデスクでは、年間約30万件の問い合わせ対応の約75%をAIエージェントで自動化しました。日本マイクロソフトが事例を公開しています。


ニュースサマリー
富士通のCopilot全社導入とは?何が起きたか
富士通は2026年4月、国内外のほぼ全社員にあたる約10万人にMicrosoft 365 Copilotを導入しました。自社がAIの最初の利用者となり、その知見を顧客に届ける「カスタマーゼロ」戦略の一環です。日本マイクロソフトが2026年9月4日に事例を公開し、@ITが定着の工夫を報じました。
主な内容
2025年7月に7,500ライセンスで全部門の集中トライアルを行い、2026年1月に3万へ広げました。
社内DX活動「フジトラ」の全社ネットワークを生かし、部門横断の推進組織を立ち上げました。
ハンズオンセミナーや習熟度別の動画に加え、AIエージェントの活用事例を表彰する社内コンテストを定期的に開いています。
TeamsやOutlookなど、普段使うツールの中でそのまま使える点を選定理由に挙げています。
報告されている成果
Microsoft 365 Copilotの全社利用率:2026年6月時点で90%以上を維持
社内サービスデスク:年間約30万件の問い合わせ対応のうち約75%を自動化
営業、購買、財務経理などの基幹業務でも、AIを前提にした業務の見直しを進行中
運営からのコメント
なぜ今、このニュースが重要なのか
生成AIのライセンスを全社に配っても、数カ月で使う人が限られてしまう例は珍しくありません。富士通は約10万人という規模で、9割以上が使い続ける状態を作りました。しかも個人の作業効率にとどまらず、サービスデスクの問い合わせ対応の4分の3を自動化するなど、業務の仕組みそのものを変え始めています。大企業でも全社定着は実現できることを、具体的な数字で示した事例です。導入を検討中の企業にとって、進め方の手本になります。
最大のポイント
注目すべきは、導入前に効果の目標を細かく決めなかった点です。トライアル中は投資対効果の設定に悩んだものの、経営層の後押しで「まず早く使い、使いながら価値を見極める」方針に切り替えました。そのうえで、効果の測り方は後から因果分析で整えています。また、優れた使い方を表彰して社内で共有し、上級者同士の情報交換会も設けて、使うほど意欲が高まる流れを作りました。数値目標で現場を縛るより、成功例を見せ合う仕組みのほうが定着を後押ししたことがうかがえます。
企業がいま取り組むべきこと
まず、自社で導入済みのAIツールの利用率を部署別に確認してみてください。使われていない部署が分かったら、その部署で日々多い問い合わせや定型作業を1つ選び、AIに任せる試行を始めます。あわせて、社内で生まれた良い使い方を集め、月に1回でも紹介し合う場を作るのがおすすめです。富士通のように大きな表彰制度でなくても、社内チャットで事例を共有するだけで、使い方の幅は広がります。効果測定は、まず利用状況から始めれば十分です。
出典
一次情報:富士通、10万ライセンスのMicrosoft 365 Copilotを基盤にAI前提の業務プロセス変革を推進(日本マイクロソフト)
参照記事:富士通では「Copilot」10万ライセンスの利用率が“9割超え” 「導入したけど使われない」をどう防いだ?(@IT)

小松怜
Advanced AI Partnersのコンサルタント。生成AIニュースの執筆を担当し、国内外の生成AIの最新動向を企業の実務目線で解説しています。


