米ガートナーのアナリストが、全社員の日常業務を支える「エンタープライズAIアシスタント(EAIA)」の市場動向を解説しました。現状はMicrosoft 365 Copilotが先行する一方、各社の参入が続き、人とAIが協働する「Cowork」の登場で役割も変わりつつあります。


ニュースサマリー
エンタープライズAIアシスタントとは?何が語られたか
米ガートナーのジェーソン・ウォン氏が、ビジネス+ITの記事でEAIA市場を解説しました。ガートナーはEAIAを、業界や職種を問わず使え、検索・要約・分析・文章作成など幅広い日常業務に役立ち、組織の規模を問わず活用できる汎用のAIアシスタントと定義しています。同社は2026年9月、この市場を対象とした初の評価レポートも公表しました。
主な内容
AIエージェントとの違いは行動の深さで、EAIAは原則として指示1つに1つの処理で応え、外部への権限を持たないとしています。
人とAIが同じ画面で協働する「Cowork」の登場で、受け身のチャットから自律的に動く存在へ変わりつつあるとしています。
生産性の鍵を握る機能として、オーケストレーション、コネクタ、検索、ダッシュボードの4つを挙げています。
AIモデル提供企業、クラウド大手、業務アプリ企業などが入り乱れて製品を投入しています。
示された数字・評価
この1年で活用に取り組んだEAIAとして、調査の86%がMicrosoft 365 Copilotを選択
2026年9月2日公表の初の評価レポートで、GoogleやOpenAIなどがリーダーに
運営からのコメント
なぜ今、このニュースが重要なのか
社内でCopilot、ChatGPT、Claude、Geminiなど複数のAIツールが並び、どれを全社の標準にするか決めかねている企業は少なくありません。これまでは製品ごとに機能の呼び方も違い、横に並べて比べること自体が難しい状況でした。ガートナーがEAIAという枠組みで市場を定義し、初の評価レポートを出したことで、比較の物差しが1つ生まれました。Copilotが先行していても「競争は始まったばかり」とされる今こそ、自社の選び方を見直す時期です。
最大のポイント
見落とされやすいのは、EAIAとAIエージェントの境目が薄れつつある点です。ガートナーは、EAIAは外部への権限を持たないため、エージェントが乱立するリスクがないことを利点に挙げています。しかしCoworkの機能が広がり、AIが自らツールやデータにアクセスするようになれば、その前提は変わります。選ぶ際には機能の多さだけでなく、AIが何にアクセスでき、誰がその権限を管理し、利用状況をどう把握できるかまで確認しておく必要があります。
企業がいま取り組むべきこと
まず、社内で使われているAIアシスタントを洗い出し、ガートナーが挙げた4つの機能で比べる表を作ってみてください。とくに、コネクタが自社の主要システムにつながるか、ダッシュボードで部署別の利用状況を見られるかの2点は、全社展開後の効果に直結します。表を作ると、同じ機能を複数のツールで重ねて契約している部分も見えてきます。いきなり全社契約に進まず、少人数での試行で使われ方を確かめてから判断すると、無駄な費用を抑えられます。
出典
参照記事:Copilot・ChatGPT・Claude…全社AI選びの5条件、ガートナーが警告「課金の落とし穴」(ビジネス+IT)
関連情報:Download the Gartner Magic Quadrant for Enterprise AI Assistants(OpenAI)

小松怜
Advanced AI Partnersのコンサルタント。生成AIニュースの執筆を担当し、国内外の生成AIの最新動向を企業の実務目線で解説しています。


